晴雨計 第20回 「聖書を読む理由」

先週末、アドベント(待降節)の恒例行事として、銀座・教文館のクリスマス市へ行ってきました。12月のこの時期は、幸福感に満ちたホリデイ。私は、幼い頃からヨーロッパの文化とその土台であるキリスト教会に夢中だったので、聖書やクリスマスについての本を読んだり、映画をみたりするのがいまでも大好きです。

小公女セーラが屋根裏部屋に用意してもらったクリスマス・プディングってなあに? 若草物語の四姉妹が声を合わせるのは、何番の賛美歌? あしながおじさんのジュディみたいなクリスマス・プレゼントのリストを、自分でも作ってみよう!――

そういう少女でした。サンリオやフェリシモといった女の子のための小間物の大手も、美しいイラスト付きの読み物をたくさん与えてくれました。バブル景気も関係していたのか、テレビ局も、ロマンチックな番組ばかり一日中流していた気がします。冬休みの最初の日でもある、クリスマスの朝の幸福感といったら! それが忘れられず、今年も母校のそばにある教会へ行ってお祈りをする予定です。

 

教会では、11月30日の聖アンデレの日からクリスマスの準備をはじめます。この日に一番近い日曜日から一週間に一本ずつ、蝋燭に火をともしていく――この行事が、アドベント・カレンダーのはじまりです。

1週目はやさしい心を持つことができるように。2週目は丈夫な心を持つことができるように。3週目は忍耐強い心を持つことができるように。4週目はお祈りする心ができるように、願いをこめて火をともすのです。

私はこれを、コバルト文庫の人気作家だった藤本ひとみ先生のイメージアルバム「クリスマス・キス」で知りました。このアルバムのなかには、小説に出てくる人気キャラクターが「好きな聖書のことばを朗読する」コーナーがあって、わたしは大好きなシャルルの読みあげる「ローマ人への手紙 第12章 愛には偽りがあってはならない」をまったく当然のことのように暗誦していました。ラルク・アン・シエルに夢中な同級生が「歌詞の世界観を知りたくて聖書を読んだの」と話すのを聞いて感動したこともあります。

学ぶ心というのはつねに、憧れとともにある。愛あってこその知識欲、そこから生まれる文化を語り継ぎたい。それが私のクリスマスの祈りです。

 (2013年12月13日付「新潟日報」初出)

 

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